■XYZ
ドン・ドッケンが目をかけて育てていた彼等はドンのプロデュースの元、キャピタル/エニグマとレコード契約を結んだ。日本でも当時、音楽評論家が「大型新人」と書きたてたものの、日本では一部の雑誌以外、それほどブレイクすることはなかった。しかし、LAのラジオ局では「Inside Out」や「What Keeps Me Loving You」がローテーションとなり、ALICE COOPER、FOREIGNER、Ted Nugent, Ozzy Osbourne等とのツアーにも恵まれて、WINGER, STEELHEART、 FIREHOUSEと並ぶ“ポップ・メタル”として注目を浴びた。シングル「Maggy」がドルフ・ラングレンの映画『I Come in Peace』に起用されたお陰で、その印税だけでも未だに彼らの生活源になっているとメンバーは言っていた。一度は解散した後に、それぞれのプロジェクトをやりながらもまたバンドとして活動している。メンバー4人中、ヴォーカルのテリーとベースのパットはフランス人である。テリーはソロ・アルバムも何枚か発表しており、アルバムには『武士道』と名づけたり、武道のトレーニングをしたり、大の日本ひいき。“アサヒ・スーパードライ”のCMソングの仕事もしたことがあるそうだ。
■ARMORED SAINT
学生時代から仲良しのメンバーとゴンゾ&フィル・サンドヴァル兄弟が母体となってイースト・LAで結成された。イースト・LAはヒスパニック系が住むスラムのような街で、彼等はそこで成功を夢見ていた。あのMETALLICAをこの世に送り出したコンピレーション・シリーズ『Metal Massacre』にも収録され、ARMORED SAINTはクリサリス・レコードと契約。AEROSMITH、JUDAS PRIEST、METALLICAとツアーに回るチャンスに恵まれ、LAでは正統派へヴィーメタル・バンドとしてかなりの期待の星だった。
'92年にヴォーカル、ジョン・ブッシュがANTHRAXのヴォーカルとして抜てきされたが、必ず彼等は再び一緒にやることを誓い合っていたという。コメント映像にはベーシストのジョーイ・ヴェラが不在だが、彼が近年は才能ある音楽的なブレインとなっている。
SETLIST:
March of the Saints
Delirious Nomad
Reign of Fire
Creepy Feelings
Tribal Dance
Last Train Home
Symbol of Salvation
Mad House
Can U Deliver
■KINGDOME COME
“LED ZEPPELINのクローン”と言われながらも大ブレイクしたKINGDOME COMEは、レニー・ウルフがそのすべての舵を取っている。たった1枚のシングル「Get It On」のラジオ・ヒットによって、アルバムがリリースされる前には50万枚の注文、そしてセルフ・タイトルのデビュー・アルバムは1年の間に全世界で1300万枚のセールスを記録した。長いツアーも行い、誰もが全てが順調に運んでいると思っていたが、'89年にセカンド・アルバム『In Your Face』をリリースした頃には、メンバー・チェンジ、ビジネス上のトラブル、そして評論家達からのバッシングを浴び、失意のどん底に追いやられたレニーは故郷のドイツに帰国。それ以来、ドイツとLAを行き来していたが、'93年よりずっとドイツを本拠とし、ドイツ人の新ラインナップでアルバム制作やライヴ活動も地道に続けている。近年はよりインダストリアル・サウンドの要素が強い。
元KINGDOME COMEのドラマー、ジェームス・コタック(SCORPIONS)が「来週レニーとリック・ステイアーと3人で会うんだよ」と言っていたが、レニーのオフィシャルでは「ROCKLAHOMAの後にカリフォルニアでジェームスとリックとアップル・パイを食べに行く」と書かれていた。何だかオリジナルに近い面子での再編成か、他に何かプロジェクトを企んでいる感じがした。
■LIVING COLOUR
かのミック・ジャガーの“お気に入り”ということで注目を浴びて、デビュー・アルバム『Vivid』はビルボード・チャートの6位になり、グラミーで何度かベスト・ハードロック・パフォーマンス賞を獲得している。メンバー全員がアフリカン・アメリカンというのにフュージョンとへヴィーメタル、ロック、ハードコア、ファンク、ヒップホップ、ジャズなどを織り交ぜたバカテクで多才な音楽性を発揮し、当時、FISHBONEやPRIMUS、FAITH NO MORE、JANE'S ADDICTIONとミクスチャー・シーンを賑わせた。2000年に再結成し、ずっと精力的にツアーを続けながら、来年にはニュー・アルバムを予定している。'80sのヘアーメタルと呼ばれる類には属さないだけに、ステージでは逆に強烈な独特のインパクトをもたらしていた。見事な演奏だ。
■NIGHT RANGER
昨年、今年と立て続けの来日ですっかりお馴染みだが、さすがにNIGHT RANGERのステージでの存在感は圧巻だ。幾度も活動開始・休止を繰り返しながらも、ここ最近はジャック・ブレイズ(ヴォーカル&ベース)、ブラッド・ギルス(ギター)、ケリー・ケイギー(ヴォーカル&ドラム)の3人が母体となる形で残存し、ツアーによって残りのメンバーは変則的になっている。余裕と自信に溢れた元気なジャックはステージ狭しと動き回り、この日はDAMN YANKEESのカヴァーもご機嫌に披露。歌も歌える重宝なドラマー、ケリーもパワフルで、ブラッドは年と共に色気すら増したような感じで、誰もが認めるベテランのライヴ・バンドのヒットパレードにROCKLAHOMAが揺れた。でも、正直、ステージではブラッドのアーミングとセットで、やっぱりジェフ・ワトソンの8フィンガー奏法が観たくなる者も多いのでは?
SETLIST:
This Boy Needs to Rock
Sing Me Away
You're Gonna Hear From Me
Rock in America
Coming of Age (DAMN YANKEES)
Sentimental Street
Touch of Madness
Eddie's Comin' Out Tonight
When You Close Your Eyes
Sister Christian
Don't Tell Me You Love Me
■EXTREME
EXTREMEはへヴィーメタルではなく、常にファンキーなメタル・バンドと表現されたが、セカンド・アルバム「Pornograffitti」からアコースティックのバラード曲「More Than Words」がビルボード・チャート1位にのし上がった。その1年前には'89年にセルフ・タイトル・アルバムでデビューしているので、ギリギリ'80sバンドに属することになる。
特筆すべきはやはりギタリスト、ヌーノ・ベッテンコートのメタル・サウンドで比類なき個性と、ゲイリー・シェロンの実力あるパフォーマンス、そして曲のセンスによって独自の地位を築いた。ゲイリーがVAN HALENに加入したことすら今はもう誰も忘れたかのように、EXTREMEの再結成を純粋に喜んでいるファンが多いと思う。日本には2005年1月にもあっという間にソールド・アウトになった公演を行っているのでそれほど懐かしいと感じるバンドでもないが、待望の13年振りとなるオリジナル・アルバム『Saudades de Rock』を携えての来日公演(2008年12月)はまた喜びも別格であろう。ヌーノに関してはHard Rock Cafe主催の“Guitar Wars”(企画モノのスーパーイベント)やらBlue Note主催のスティーヴ・ルカサーとの共演やらで、結構頻繁に来日していた。EXTREMEがステージに上がった頃は夕日も落ちて、ステージの照明がより幻想的に彼らを映し出す。そう、やっぱりその曲の持つ雰囲気も含めて照明は偉大な武器だ。野外フェスなのに、ひとつのアリーナ空間にいるような錯覚に巻き込まれるテンションの時間。それに値する素晴らしい演奏が夜空に響いた。しかし…ヌーノが6〜7分も弾いたもんだから、一部の観客はブーイング!日本ならさすがにヌーノに向かってブーイングする度胸がある人はいないだろうが、海外フェスでは一日に沢山のバンドを観るので長いソロは今時歓迎されないようだ。「Get the Funk Out」や「Pronograffiti」はなし。「Kid Ego」「It's a Monster」「More than Words」「Am I Ever Gonna Change」「Hole Hearted」他、ラストは何故かカヴァーで「Communication Breakdown」だった。
■TRIUMPH
カナダ最強バンドのひとつであり、ハードロック、メタル、そして時にかなりプログレ色も濃いTRIUMPH。ギタリストのリック・エメットはクラシックからの影響を受けたソングライティングが目立つ。ハイトーンのヴォーカルに、ダブルネックやいかにも重たそうなディーンのフライングVなど、ド派手なギターを好んでいるようでギターも荒削りな味がある。ドラマーのギル・モアもへヴィーな曲を中心に、歌うドラマーだ。ベースのマイケル・レヴィーンはTRIUMPHの初期のプロデュースも手掛けている。'75年に結成されて以来、カナダだけでなく北米でもゴールド・ディスクを多数獲得し'07年にはカナダHall of Fameのイベントで久しぶりに顔を合わせた。その頃はそれぞれのプロジェクトで忙しかったが、今年6月に行ったSweden Rock Festivalで15年振りの復活を果たしたばかりだった。こんなに風格あるベテラン・バンドなのに、日本では過小評価されているのか、何故か殆ど話題にならない。'80sメタル・ファンにはたまらない、あの伝説のUSフェスティバル('83年)にも出演しているので、今、初めてTRIUMPHを観る方々は「何?このおっさん」で素通りしないで昔の動画もチェックしてみて頂きたい(余談:マイケルは全然変わっていないが、リックとギルは当時、カナダの貴公子と呼ばれるルックスだった)。
3日目のトリ、TRIUMPHを観に日本から23年越しの夢を叶える為に、今回WeROCK CityのROCKLAHOMAツアーに参加したファンがいた。その女性がツアーの特典としてバックステージでメンバーに会い、渡したプレゼントのTシャツを着てステージに現れたギル。そんな微笑ましい光景ひとつひとつがこの晩のハイライトに思えた。