終幕宣言から7年経った昨年のクリスマス・イヴ、LUNA SEAが一夜限りの復活ライヴを果たした際、東京ドーム公演のチケットは、発売開始後、たった5分でソールド・アウトになった。それは今でも彼らが絶大なる人気を誇る、もう何の説明も要らない日本を代表する伝説のロック・バンドである証しだった。そんな彼らを語るうえで欠かすことができない、サウンド・プロダクションの中核をなすギタリスト、SUGIZOが10年間の軌跡を集積したソロの初ベスト・アルバム『COSMOSCAPE』を発表した。
世間一般ではLUNA SEAは未だに“ヴィジュアル系”というイメージが残っているかもしれないが、今はイメージよりも数々のヒット曲の方が耳に印象に残っているのではないだろうか。音楽一家出身で3歳からバイオリンを弾き、クラシックもしっかり鍛錬している根っからの音楽家のSUGIZOは、ギター、バイオリンにとどまらず、ベース、シタール、胡弓などの様々な楽器の他、DTM、サンプリングも操り、プロデュース業もこなす、独自の世界観を繰り広げてきた。
『COSMOSCAPE』は一般的な意味でのいわゆるベストアルバムではなく、キャッチーな歌モノを集めた商業音楽的美徳を意図したアルバムでもないとSUGIZOは言う。そもそもSUGIZOの音楽の中で、歌モノのヒット曲や汎用的わかりやすさを持つ型番どおりのROCKなどは存在していない。逆に恍惚的なトリップを、きらびやかでとことんディープな宇宙的快感を求めている者に与える至福の世界なのだ。ありのままのSUGIZOから生まれた楽曲達を、宇宙的強度を持つ珠玉の楽曲達を中心に選び抜いた、未来のSUGIZO MUSICへのアーキタイプ集であり、これは彼のかけがえのないライフ・ワークスだと語る。
その世界観をさらに追求する為に、本人のセルフ・ライナーノーツを引用したい。
「1997年から始まった俺のソロ・ワークは、自分自身の存在理由を、音楽の表現理由を探求する内なる旅路だった。それは歓喜と引き換えに途方も無い痛みを伴うものでもあった。この10年間、嵐のように到来した幾多の成功、挫折、そして変化。数々の波瀾万丈をくぐり抜けた今、自分の核から滲みでた音達をより愛おしく感じることができるようになったな。
音楽というツールを通して伝えたい精神性、メッセージ、到達したい景色。自分がインスピレーションを感じる全てのアプローチや表現に、強い向かい風の中、全霊で挑んできた。音楽の表面的な在り方、やり方、カテゴリー、常識は関係ない。内側から溢れ出る表現欲求の洪水に身を任せ続けてきたんだ。数々の新しい挑戦や実験の中生まれ出た楽曲達。いかにも俺らしい独自のアプローチの発見もあれば、幾多の失敗や迷いも繰り返してきた。それは音楽の創造とリンクしながら自分自身を研磨し、より高次元へ歩み進める、大切なプロセスだったと思う。
今回この10年間積み重なった作品群の中から、あくまでも「今の自分」の視点から魅力的な楽曲達をそれぞれの時代から抜き出して一枚に凝縮させた。結果、一時的に没頭した特定の音楽形態や、時流に歩み寄ろうと意識して打算的に生まれたものよりも、ただただ自分に降り注ぐインスピレーションのみを信じて綴ってきた音達が選ばれたな。
もうひとつ重要なのは、ここで今一度、生涯俺の躰の一部であろう愛おしき楽器、ギターを中心として、その意図に叶う作品集を生み出したかった、ってこと。俺の指先をとおして全ての音達は、叫び、泣き、喜び、歌うよ。このアルバムは、SUGIZOとしての独自の世界観の結晶であると、自信を持っていえる作品となったと思う」
今年3月に東京ドームで行われた3日間に渡るX JAPANの復活ライヴでは、ゲスト・ギタリストとして参加し、HIDEパートを担当。また、5月4日、2days行われた「Hide Memorial Summit」ではLUNA SEAとして出演、さらにX JAPANにはゲスト・ギタリストとして参加し、『I.V.』でHIDEパートを担当。その合間にはサイケデリックテクノの創始者JUNO REACTORの海外ツアーに参加するなど、多忙な音楽活動を送っている。
今回、WeROCK Cityに初登場してくれたSUGIZOからは、繊細な品性と宇宙的スピリットのオーラが漂い、宇宙、考古学、ナチズム、天文学、スター・ウォーズ、スタートレック、生物学、エヴァンゲリオン、ガンダムなどにはかなり詳しいと、自他共に認めるオタクという評判には頷けた。また、最近では環境問題に取り組んだり、政治的関心も高く、ミュージシャンというフィルターを通して、社会に貢献出来る事に前向きな姿勢も見せてくれている頼もしい存在だ。




